『現代を解く・長谷寺考』について

 日本の造形的な文化財はその質において群を抜いていることは周知である。しかも時代を遡るほど秀逸となることもだ。定説では法隆寺が710年創建と最古であるが、長谷寺、長谷観音像は510年代に造られており、現存するもので最古である。次に530年代の薬師寺東塔と薬師如来像、日光・月光菩薩像が続き、その後が東大寺である。法隆寺の元である観世音寺は607年、東院伽藍は661年創建である。奈良・京都の文化財のほとんどが九州北部から移築されている。しかもそれらの文化財がどのように造られたかを知る術は取り上げられている。

『現代を解く・長谷寺考』第1部より

仕様
 縦書き 20行×42字 260ページ
 A5版ハードカバー改定カラー版(2016.8.2発行) 3600円
 米田良三 著 渡辺しょうぞう 編集
 AB&JC PRESS 発行

 

目 次
はじめに
「源氏物語画帖」玉鬘より
第一部  泊瀬の御寺
現在の三瀬の谷に「源氏物語画帖」をコラージュする
1.序論
2.『住吉物語』
3.「源氏物語画帖」
4.『枕草子』
5.奈良登
6.『大和物語』
7.『古今集』・『万葉集』
8.柿本人麿の百人一首の歌
9.片桐洋一『柿本人麿異聞』から
10.梵鐘に関する考察
11.移築論的考察
第一部のおわりに
第二部  隠国
隠国の図
隠国の現況地図 (昭和四十年代)
1.序
2.柿本人麿の巻向歌群
3.人麿の妻の死
4.再度、長谷寺を考える
5.石上布留
6.謡曲「布留」における検証
7.布留のいろいろ
8.謡曲「井筒」における検証
9.時代を記録する『伊勢物語』
第二部のおわりに
第三部  阿弥陀信仰
500、600年代日本史関連年表
〔復原文〕倭武の上表文
1.磐井の墓(豊山)
2.霊山(倭薈終焉の地 ― 小倉山)
3.浄土三部経
4.聖徳太子の「唯除五逆誹謗正法」
5.中国浄土教の担い手・道綽
6.法然の『選択集』(」)と日蓮の『立正安国論』
7.観音信仰について
8.『七大寺年表』について
9.『枕草子』と阿弥陀信仰
おわりに ―解説風に―
倭国長谷寺跡発見記(編集後記)
図、表、写真 出典一覧